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2017年6月26日 (月)

吉田分校(5)

吉田分校(5)

 

さて、6月からはレガッタの季節だ。

最初の2000メートルレースは同志社と教養部対戦。

 

レースのときは東海道線の鉄橋の2箇所の橋げたにロープがくくり付けられ、その先に木のバトンが流れに浮いている。 競漕する2艘のコックスは決められたバトンを右手につかむ。 艇は橋げたからいつでも飛び出せるよう下流に向けてとどまり、漕ぎ手はオールをひけるようずくまる。 

 

上流からゆっくり審判のモーターボートが近付き主審が大きな旗を振って「ゴー」と号令する。 コックスはバトンを手放し、首にかけたストップスイッチとラダーロープを掴む。 漕手は艇を停止状態から急に加速するため短いストロークで数かきしてすぐ「スタートダッシュ」にはいる。 ストローク数を計測して定常のストローク数におとす。

 

スタートで抜かれたまま前半を過ぎ、川幅が広くなってカーブのあるところまで来た。 カーブを曲がって後半になってスピードがあがり追いつきおいこすことができた。 かなりの差で勝つ

 

7月に東大とのジュニアクルー対抗戦(3200)は隅田川で行われる。 コーチ、マネージャー、クルーは東海道線で上京した。 私にとって初めての東京である。 

 

都電に乗った。 私達はつり環につかまって大きな声で関西弁でしゃべる。 座っている人たちは、目をまるくして不思議そうに私達を見あげる。 彼らは関西弁はラジオかテレビの漫才・喜劇で使われる特別な言葉で、普通の生活の言葉とは思っていないのだろう。

江東区向島という隅田川河畔には共同の合宿所と艇庫があり、私達はそこへ落ち着いた。

 

船台から川をのぞきこんでびっくりした。 なんと汚い水だ! 木切れが流れてくる、あらゆる種類のゴミが流れてくる、子豚の死骸が流れてくる。 汚物にまみれている。 匂いもひどい。 おまけに下肥をのせたオワイ船が大きな波をたてて下って行く。 地上の悪い物のすべてが流れている。 病気に感染したら重大事だ。 

 

練習がおわると顔を洗い、うがいをし、目薬をさし、風呂屋に直行する。 漕手の尻はすりむけている。 互いに赤チンを塗りあうから、風呂屋でエテ公のような尻の赤い体格のよいヤツらはどこかのクルーの漕手だ。

 

私達は瀬田川の清流か、琵琶湖の水で艇を漕いできた。 一休みには水をすくって顔をあらったり、口にふくんだりしていた。 

東京の奴らはとんでもないところでボートを漕いでいるんだなとおどろいた。  ここで一週間練習、そして3200mレースで負けた。 あまり思い出したくない。 が、汚水のしぶきをあびたときの臭気と気味の悪さだけはときどき思い出す。

 

レースが終わって何日か東京に滞在したとき、埼玉の叔父が私と小学生の従妹とを「はとバス」で東京見物をさせてくれた。 皇居、丸の内のオフィス街、明治神宮、その他はじめてのものばかりだった。

 

Yoshida5

 

 

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