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2017年6月26日 (月)

吉田分校(6)

吉田分校(6)

 

夏休には西宮の家で岩波文庫の訳本「ファウスト」と原書Faust, Ghaete (1808年)を1ページづつ読むことにした。 合宿所にいるうちに、根気よく辞書をひくよりは、まず訳本を見てから、原書を見て、それらを見比べて単語の意味を知る、という癖がついてしまった。 よほど手っ取りばやい。

 

さて、年老いるまで学問に打ち込んできて、すべての知識をものにしたファウスト博士、なにかものたりない。 若さを取り戻したい。 そこへ現れた悪魔のメフィストフェレス。 「じいさん、お前を若返らせてやろう。 ただし、じいさんが、これで自分は満足だ。 というまでの期間だ。 この契約期間が過ぎればお前の魂はわしが頂く。 そして地獄につれてゆく。 この契約でどうだ?」 ファウストはメフィストと契約を結び、若返る。 

 

ファウストは青年の理想主義者。 

メフィストは有能な現実主義者でファウストにとって世間の道案内者。 メフィストは現実での知恵もファウストに授ける。 

 

ファウストは恋愛を手初めに、色々な世間を生き、魔女と悪魔のいかがわしい祭りワルギスナハトにも参加する。 あらゆる現実社会に生きてみる。 ついにファウストは政治をはじめる。 国のリーダになり善政をしく。 そして、満足のあまり「ああ、私は満足だ。 時よとまれ。」

 

メフィストが現れて「これで、契約期間がきた。 魂を頂くから、一緒に地獄へ行こう」。

おっとどっこい、話しが急に安っぽくなり、天上から見ていた神がファウストの魂は極楽へ、と天使を遣わせる。

 

私には「ファウスト」はむつかし過ぎた。 抽象的な文章は苦手だ。

昔の学生なら読んだといわれていたから、意地でも読んでおかなきゃと思って読んだ。 もうこりごりだ。

 

急に前に読んだ「ハックルベリー・フィンの冒険」(1885年)を思い出した。 物語の最初の方。 信心深いおばさん。 ハックに「お前のような悪ガキは地獄に堕ちるよ」と脅す。 ハックが「ゴクラクは退屈やろ。 ジゴクの方がよっぽどおもろそうや。 わいはジゴクにいきたい。」というくだりがある。

 

余談だが、就職してからずっと後になって読んだ「資本論」(マルクス、1867年)には貧乏人の地獄とその成り立ちが書いてある。 その理論をよりどころに、労働者と貧農の極楽を創ろうと息巻いて「共産党宣言」ができた。 スターリンと毛沢東が赤い旗印のもと、数千万の自国民の血を流して作りあげた極楽がソ連だとか中共などだ。

 

さて、高校の友達と会って大阪の歌声喫茶へ。 はやりの歌声喫茶では、アルコールも飲める。 数十人の若い人たちや学生がアコーデオンやピアノの伴奏で労働歌(きけ万国の労働者、インターナショナルなど)、学生歌(国際学連の歌、旧制高校の寮歌など)、ロシア民謡などを合唱する。 

 

無料の小さな歌集が配られる。 

ロシア民謡と称する歌は、いくつかの本物(ボルガの舟歌、トロイカなど)と、多くはソ連の軍歌(カチューシャ、ともしび、バルカンの星の下でなど)である。 

私はアルコールのおかげで、ステージにあがりアコーデオンに合わせて「逍遥の歌」を歌った。 気持ちがよかった。

 

試験の準備と試験期間中は合宿所では飯はつくらないから、おのおのが自分の下宿や家から通う。 私は9月の初めから試験の終わる10月初めまで西宮の家から通った。 

 

「数学」では、微分方程式、演算子、ベクトル、曲率、捩率、・・・新しい項目が次々出てくる。 「力学」や「物理」では、電磁気の場、ベクトル場、ストークスの定理などが数学に先行して出てきて混乱する。 こんなのは、統合して教えてくれればもっと分かりやすいはずなのに。 何が何やらわからぬうちに付け焼刃で試験の単位だけは取った。

試験が終わるとふたたび合宿所の生活となる。

Yoshida6

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